AMED「創薬支援推進事業-希少疾病用医薬品指定前実用化支援事業-」採択に関するお知らせ

日本製薬株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:辻󠄀山博之)は、研究開発シーズNPO-15の開発について、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の2019年度「創薬支援推進事業-希少疾病用医薬品指定前実用化支援事業-」に、課題名「新規重症筋無力症治療薬の開発(NPO-15)」として採択されましたのでお知らせします。2019年4月1日から2022年3月31日までが対象期間となり、本事業に要する研究開発費の一部について支援を受ける予定です。

創薬支援推進事業-希少疾病用医薬品指定前実用化支援事業-

本支援事業は、希少疾病用医薬品の製造販売承認取得を目指す研究開発型企業等による開発を進めるため、その環境を整備し、迅速かつ効果的に希少疾病用医薬品としての実用化を可能にすることを目的としたものです。

重症筋無力症

重症筋無力症は、厚生労働省指定難病11に登録されており、末梢神経と筋肉の接ぎ目(神経筋接合部)において、筋肉側の受容体が自己抗体により破壊される自己免疫疾患です。全身の筋力低下、易疲労性が出現し、嚥下が上手く出来なくなる場合もあり、重症化すると呼吸筋の麻痺をおこし、呼吸困難を来すこともあります(難病情報センターホームページ(2019年5月現在)から引用)。

NPO-15

NPO-15は、当社が研究開発を進めているバイオ医薬品候補物質であり、自己抗体中和活性および自己抗体産生B細胞への細胞傷害活性という、2面的作用機序が期待されます(Neurotherapeutics. 2017 Jan; 14(1): 191-198、特許第4857396号)。

参考情報

「創薬支援推進事業-希少疾病用医薬品指定前実用化支援事業-」の詳細および採択課題の決定については、下記ウェブサイトをご覧ください。
https://www.amed.go.jp/program/list/06/03/001_03-01.html
https://www.amed.go.jp/koubo/06/01/0601C_00053.html
 
<本件に関するお問い合わせ先>
日本製薬株式会社 総務・人事部 TEL:03-5148-7570

<補足資料>

NPO-15に期待される2面的作用機序について

重症筋無力症(MG)は、神経筋接合部のシナプス後膜側に存在するタンパク質(アセチルコリン受容体)に対する病原性自己抗体が産生され、抗体依存性により同受容体の破壊に至り、神経筋伝導障害の発現により筋力低下と筋易疲労性をきたす自己免疫性神経疾患である。大きく全身型MGと眼筋型MGに分類され、MG全体の80~85%が抗アセチルコリンレセプター抗体(抗AChR抗体)陽性とされている。


NPO-15は、ヒトアセチルコリン受容体α1サブユニット細胞外領域(AChRドメイン)とヒトIgG1 Fc領域(IgG1 Fcドメイン)を、遺伝子組み換え技術により融合させたFc融合タンパク質である。その分子構造及び作用機序より、MGの内、抗AChR抗体陽性患者を対象としている。


AChRドメインには、病原性自己抗体である抗AChR抗体の認識配列が存在し、抗原抗体反応により抗AChR抗体と結合する。この結合作用がデコイ効果として働き、患者血液中あるいは神経筋結合部において、自己抗体中和活性を発揮する。


もう一方のIgG1 Fcドメインには、Fc受容体結合部位が存在し、抗体依存性細胞傷害活性に深く関与する。NPO-15は、自己抗体産生B細胞(病原性B細胞)と結合し、その後、IgG1 FcとFc受容体が結合することで、ナチュラルキラー細胞等のエフェクター細胞を介した病原性B細胞に対する細胞傷害活性(ADCC活性)を発揮する。




NPO-15のドメイン構造とその機能




抗AChR抗体に対する中和活性、病原性B細胞に対する細胞傷害活性という異なる作用機序を分子内に持つことで、2面的に作用するユニークな物質である。