天疱瘡について
●天疱瘡とはどのような病気ですか?
全身の皮膚や口の中に、水疱やびらんができる病気です1)
水疱のできる場所や皮膚症状によって、さらに細かい診断名がつきます。天疱瘡の患者さんの8割が尋常性天疱瘡と落葉状天疱瘡です1)
●尋常性天疱瘡
口の中にびらんが生じます。口の中がしみるため、飲食が困難になります。また、尋常性天疱瘡の半分くらいの患者さんは、皮膚にも水疱やびらんを認めます。大きな破れやすい水ぶくれがよくみられます。
●落葉状天疱瘡
皮膚だけに水疱、びらんが生じます。口の中にできることはありません。赤みの強いかさぶたのついた水疱がよく見られます。背中や額、胸にできるのが特徴です。
天疱瘡特定疾患医療受給者の病型分布
●天疱瘡Q&A

Q1.天疱瘡はどうして起こるのですか?(病因)

A1.本来は体に生じないはずの自己抗体が産生され、自己抗体が水疱をつくる自己免疫性水疱症です。表皮細胞をつなぐタンパク(デスモグレイン:Dsg)に対する抗体(抗デスモグレイン抗体:抗Dsg抗体)が原因です。
先生のコメント
※自己免疫疾患とは?
免疫は外部から入ってくる異物(ウイルスや細菌など)等の自分以外のものを排除する働きがあります。ここで、重要な働きをするのが”抗体”です。自己免疫疾患は自分自身の組織を、自分以外の異物と間違えて攻撃してしまう自己抗体ができるために発症する疾患です。
写真提供:川崎医科大学 皮膚科 教授 青山裕美

Q2.患者さんはどのくらいいるのですか?

A2.日本全国で5500人ほどです(平成25年度厚生労働省の衛生行政報告例の統計)。世界での報告を見ると、年間発生率が100万人あたり1人から100人までと、人種および地域による差は大きいようです2)

Q3.どのような治療を行いますか?

A3.皮膚にたくさんの水疱やびらんができている時は、入院してステロイド剤を内服することが必要になります。効果が不十分な場合はさらに免疫抑制剤という薬を併用したり、免疫グロブリン療法や血漿交換療法という治療法をステロイド内服剤と併用しながら治療していきます。
症状に応じた治療順序の概念
写真提供:川崎医科大学皮膚科 教授 青山裕美

Q4.入院が必要ですか?

A4.中等症から重症例では、入院治療が必要な場合が多いです。初期の段階で強めの治療を行い病気の勢いを抑える必要があるので、入院しながら治療を行います。 入院期間は最低でも1ヵ月、長い人で3ヵ月以上かかる場合もあります1)

Q5.天疱瘡は治りますか?

A5.重症の患者さんの約70%は、入院して集中的な治療を受けることで1年間で軽快しています(下記のグラフを参照してください)。近年は治療が進歩しているので、軽快する人の割合はもっと増えていると予測されます1)
病気がよくなること。症状が軽くなること。
中等症、重症患者さんの1年後の病気の状態

Q6.天疱瘡は他の人にうつる病気ですか?

A6.天疱瘡は他の人にうつることはありません。病気になった皮膚に触れてもうつることはありません1)

Q7.天疱瘡は遺伝しますか?

A7.遺伝することは通常ありません。
家族のイラスト
1)稀少難治性皮膚疾患に関する調査研究班による2014年度最新版 天疱瘡Q&A
2)難病情報センターホームページ 天疱瘡 http://www.nanbyou.or.jp (2018年7月現在)