慢性炎症性脱髄性多発根神経炎・
多巣性運動ニューロパチー

監修:徳島大学大学院 神経内科 松井尚子

1.慢性まんせい炎症性えんしょうせい脱髄性だつずいせい多発たはつこん神経炎しんけいえん多巣性たそうせい運動うんどうニューロパチーとはどのような病気ですか?

慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CシーIアイDディーPピーと言われることもあります)とは

手や足に力が入らなくなり、しびれ感が徐々に進行する病気です。
症状はいったん治って(回復して)も、再び症状が現れる(再発)ことがあるのが特徴(再発(さいはつ)寛解型(かんかいがた))です。また、症状がゆっくりと進行していく(慢性(まんせい)進行型(しんこうがた))こともあります。
自然に治る(治癒(ちゆ)する)ことはまれです。

多巣性運動ニューロパチー(MエムMエムNエヌと言われることもあります)とは

手や足に力が入らなくなり(手足の筋力の低下)、(きん)萎縮(いしゅく)と呼ばれる“やせ”症状が目立つ病気です。
症状はゆっくりと進行していく病気です。
CIDPとMMNはどちらも末梢(まっしょう)神経(しんけい)が障害される病気です(参考の「末梢神経のはたらきと末梢神経障害」をご参照ください)。そのため、ここでは一緒に紹介します。
2つの病気には、次のような違いがあります。
CIDPとMMNの違い
2.慢性まんせい炎症性えんしょうせい脱髄性だつずいせい 多発たはつこん神経炎しんけいえん(CIDP)と多巣性たそうせい運動うんどうニューロパチー(MMN)に関するQ&A

Q1.CIDPやMMNはどうして起こるのですか?(病因)

A1.
アレルギーなどのように免疫の働きの異常によると考えられていますが、その原因などについては、十分にわかっていません。

Q2.患者さんはどのくらいいるのですか?

A2.
CIDPは人口10万人あたり1~2人程度で、発症率は20万人に1人程度とされています。
年齢が高くなるほど患者数は増えます。
MMNは人口10万人あたり0.3人ほどとされています。平均の発症時年齢は40歳代です。
2つの病気をあわせて、平成28年には全国で4,900人ほどの方が治療を受けています。

Q3.どのような治療を行いますか?

A3.
CIDPやMMNの治療は症状などにあわせて、担当の医師により選択されます。
次のような治療法があります。

●CIDPの治療

血漿(けっしょう)交換(こうかん)療法(りょうほう)や、免疫グロブリン療法、ステロイド療法が有効とされています。
・血漿交換療法は血液成分の中の血しょうに含まれる病気の原因物質を分離・除去する治療法です。
・免疫グロブリン療法は免疫グロブリンと呼ばれる体内免疫成分を投与する治療法です。
・ステロイド療法は体内の過剰な免疫反応を抑制する薬を使った治療法で、錠剤などによる経口療法と注射による静注療法があります。
CIDPの治療

●MMNの治療

免疫グロブリン療法が有効とされています。

参考.末梢(まっしょう)神経(しんけい)のはたらきと末梢神経障害

末梢神経のはたらき

末梢神経は脳や脊髄(せきずい)中枢(ちゅうすう)神経(しんけい))から枝分かれして、からだの各部分に左右対称に規則正しく分布している神経です。脳からの命令をからだの各部に伝えたり(運動(うんどう)神経(しんけい):赤の矢印方向に伝わる)、見る(視覚(しかく))、触る(触覚(しょっかく))など、からだの各部からの情報を脳に伝える働き(感覚(かんかく)神経(しんけい):青の矢印方向に伝わる)をします。
末梢神経は、手足などに分布する運動・感覚神経と、内臓などに分布し、意志に関係なく反応する自律(じりつ)神経(しんけい)とに分けられます。
神経の伝わる方向

末梢神経障害とは

末梢神経に障害が生じると、脱力、しびれ、痛みなどの症状が現れます。この状態を末梢神経障害(ニューロパチー)といいます。
慢性(まんせい)炎症性(えんしょうせい)脱髄性(だつずいせい)多発(たはつ)(こん)神経炎(しんけいえん)(CIDP)や多巣性(たそうせい)運動(うんどう)ニューロパチー(MMN)はこの末梢神経が障害される病気です。
末梢神経障害